作 山本正道
《みちくさ》

小中学生の頃 通学路は田んぼの中の一本道

一キロ程の道の両脇には何もなかった。

豪雪地帯である すり鉢の底(山形県高畠町)は 一晩で乗用車の高さ分ほど

雪が積もるのは当たり前で 除雪車もほとんどない時代

通学路をみんなで雪を踏みしめて 馬の背位の幅を作り雪の中を歩いた。

道なき道を最初に歩く人は大変だったろう。

風が無い日はまだ良いけど 風が吹けば地吹雪が起き

目の前が真っ白な世界

まつ毛も眉毛も髪の毛もみんなみんな凍っていた。

冬はこんな状態だったけど

他の季節は あぜ道で草をとり 虫を追いかけたり川で魚を釣ったり

毎日が屋外教室のように楽しかった。

ゲーセンもなければ 駄菓子屋もない

みちくさは私にとって 五感を磨いてくれた大切な時間だった。

みなさんは どんなみちくさをしたのかな?