子供の頃 生まれ育ったすり鉢村の旧家へ お使いに行くと

縁側や 外にこうしたちょっとした台があり

そこに座りながら 旧家に住む おばちゃんから

おせんべいだの番茶だの いただきながら

おばちゃんの毎回同じ内容を話すのを

まるで 初めて聞いたような顔をして

どんぐりまなこ ぐりぐりにして

聞いていた。

そんな時 心の中では


座敷向こうの庭園で ゆうみお姫様が せんべいでなく 一年に一度たべることができるかできないかのケーキを食べ

番茶でなく 紅茶と言うハイカラな異国のお茶で飲んでいる姿を

完璧に妄想していた。

遥か昔 車もあまり走ってなかった そんな昭和40年代の話

そんな私も 日が変われば また一つ 年を重ねる